08|中小企業にDXが必要とされる背景|白書・調査から見る人手不足とデジタル化の現実
人手不足、業務負荷の増加、限られた人員での事業運営。
中小企業にも、DXやデジタル化への対応が求められる場面は増えています。
ただし、DXは「新しいツールを入れること」そのものではありません。
必要なのは、自社の業務や課題を整理したうえで、何をデジタル化すべきかを判断することです。
この記事は、こんな経営者向けです
- DXやデジタル化が必要だとは感じている
- 人手不足や業務負荷をどうにかしたい
- 紙、Excel、属人作業が多いと感じている
- ITツールを入れるべきか、まだ判断できない
- ベンダーや支援機関に相談する前に、何を整理すべきか知りたい
まず結論:DXが必要な背景はある。ただし、ツール導入だけでは足りない
中小企業にDXやデジタル化が必要とされる背景には、 人手不足、生産性向上、競争力維持という現実があります。
一方で、必要性を感じていても、 何から始めるか、誰が進めるか、どこまで費用をかけるかで止まりやすい。
だから、ツール選びの前に、 自社の課題、業務、関係者、運用体制を整理する必要があります。
白書から見る背景:人手不足と生産性向上
2024年版中小企業白書では、企業を取り巻く環境や顧客ニーズが変化する中で、 中小企業・小規模事業者にもDXの重要性が高まっていると整理されています。
また、人口減少・少子高齢化により、将来的に生産年齢人口の減少が見込まれる中で、 人手不足の深刻化により企業活動の維持が難しくなることも懸念されています。
この文脈でDXは、人手不足の解消、生産性向上、企業価値や競争力の向上につながる可能性があるものとして位置づけられています。
出典:2024年版 中小企業白書「第7節 DX(デジタル・トランスフォーメーション)」
DXの必要性と取組状況には差がある
中小機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」では、 DXを必要とする企業は73.2%とされています。
一方で、DXに取組済みまたは検討中の企業は42.0%にとどまっています。
出典:中小機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」より作成
ここから見えるのは、DXが不要なのではなく、 必要性を感じていても、実際に取り組む段階で止まりやすいということです。
問題は「DXをやる気がない」ことではありません。
何から始めるか、誰が進めるか、どのくらい投資するかが整理できず、
最初の一歩で止まることです。
DXで止まりやすい理由は「人材」と「予算」
DXに取り組む際の課題を見ると、上位にはIT人材不足、DX推進人材不足、予算確保の難しさが並びます。
これは、単に「良いツールがない」という問題ではありません。 社内で進める人、判断する人、費用の範囲を整理する人が不足しているということです。
出典:中小機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」より作成
なお、中小機構の2025年調査でも、IT人材不足、予算確保の難しさ、DX推進人材不足は前回調査を上回っており、 継続的な課題であることが分かります。
この段階で必要なのは、いきなりシステムを選ぶことではありません。
誰が判断し、誰が使い、誰が運用し、どこまで費用をかけるのかを整理することです。
デジタル化とDXは同じではない
紙を電子化する。
Excelやクラウドを使う。
チャットツールを入れる。
これらは大切な一歩です。 しかし、それだけで業務全体や経営判断の仕組みが変わるとは限りません。
IPAの「DX白書2023」は、 「進み始めた『デジタル』、進まない『トランスフォーメーション』」という問題意識を示しています。
デジタル化
- 紙を電子化する
- Excelやクラウドを使う
- 手作業を一部置き換える
- 部分的に効率化する
DX
- 業務の流れを見直す
- 情報の使い方を変える
- 判断材料を整える
- 業務・顧客対応・事業の進め方を変える
出典:IPA「DX白書2023」の問題意識を踏まえ、Amatrecにて整理
デジタル化は、業務の一部を便利にする入口です。 一方でDXは、業務の流れ、情報の使い方、判断材料、顧客対応、事業の進め方を見直すことまで含みます。
そのため、ツールを入れる前に、 何を変えたいのか、誰が使うのか、どの情報を残すのかを整理する必要があります。
では、中小企業は何から始めるべきか
最初に必要なのは、ツール選びではありません。
- 何に困っているのか
- どの業務を変えたいのか
- 誰が判断するのか
- 誰が使うのか
- 誰が運用するのか
- どこまで費用をかけるのか
DXは必要だと分かっていても、いきなりツール選定やベンダー相談へ進むと、 途中で判断が止まりやすくなります。
だからこそ、導入前に自社の状況を整理する工程が必要になります。
Amatrecが重視する「第0工程」
Amatrecでは、DXやIT導入の前に、 自社の課題、関係者、判断材料、進め方を整理する「第0工程」を重視しています。
まずは、何を導入するかではなく、何を整理すべきかを確認するところから始めます。
第0工程については、Series 02の後続記事で詳しく扱います。 この記事ではまず、中小企業にDXが必要とされる背景と、 その一方でツール導入だけでは足りない理由を確認しました。
まとめ
中小企業にDXやデジタル化が求められる背景には、 人手不足、生産性向上、競争力維持という現実があります。
一方で、必要性を感じていても、 人材、予算、進め方が整理できず、実行段階で止まりやすいことも事実です。
だから、最初に必要なのは「どのツールを入れるか」ではありません。
自社の業務、課題、関係者、運用体制を整理し、
何をデジタル化すべきかを判断できる状態をつくることです。
相談前に、まず整理することから始める
Amatrecは、ITやDXの導入そのものを請け負うのではなく、 経営者が判断を進められるように、課題・優先順位・比較条件・責任範囲を整理する第三者支援です。
何を導入すべきか分からない段階でも、現在の状況を一緒に整理できます。


