12|DX推進で担当者を疲弊させないために|守るITと変えるITの役割設計

中小企業DXの前段整理メモ|12
DX推進で担当者を疲弊させないために

DX推進では、新しい仕組みを入れることだけに目が向きがちです。 しかし実際には、既存システムを守る役割、新しい業務改善を進める役割、実際に使う部門、予算を判断する経営層の役割が重なります。

役割が曖昧なまま進めると、一部の担当者に責任と作業が集中し、導入後の運用が続きにくくなります。

この記事では、守るITと変えるITの違いを整理し、中小企業でDX推進を進める前に設計すべき役割・裁量・負荷を確認します。

この記事は、こんな経営者・担当者向けです

  • DX推進を情シスや担当者に任せきりにしてよいか不安がある
  • 既存システムの運用担当者に、新しい施策の負荷も集中している
  • 利用部門・情シス・経営層の役割分担が曖昧になっている
  • ツール導入前に、誰が何を担うべきか整理したい

まず結論:問題は人ではなく、役割設計の不在です

DX推進で担当者が疲弊する原因は、情シスや現場担当者の能力不足ではありません。

守るIT、変えるIT、実際に使う部門、予算を判断する経営層の役割が曖昧なまま、 一部の担当者に責任と作業が集中することです。

DX導入前には、誰が決めるのか、誰が使うのか、誰が守るのか、誰が変えるのか、 どの予算で進めるのか、どの負荷をスケジュールに織り込むのかを整理する必要があります。

Amatrecは、第0工程でこの役割・裁量・負荷・責任範囲を整理し、 中小企業側が無理なく判断・運用しやすい進め方を設計します。

守るITと変えるITは、目的が違います

社内のITには、大きく分けて「守るIT」と「変えるIT」があります。

守るITは、既存システムを安定して動かし、セキュリティや社内利用環境を維持する役割です。 変えるITは、新しいツールや仕組みを使って、業務改善や事業変革を進める役割です。

役割 目的 主な業務
守るIT 安定稼働・安全性・既存業務の維持 保守、権限管理、障害対応、セキュリティ、社内問い合わせ対応
変えるIT 業務改善・変革・新しい仕組みづくり 新ツール導入、業務改善、データ活用、現場定着、外部事業者との調整

どちらが重要という話ではありません。
守るITも、変えるITも、会社を動かすために必要です。 問題は、その違いを整理しないまま同じ担当者へ集中させてしまうことです。

中小企業では、その役割が同じ人に集中しやすい

大企業では、情報システム部門、DX推進室、経営企画、PMO、利用部門などが分かれていることがあります。

一方で中小企業では、情シスが1〜2名体制であったり、総務や管理部門が兼任していたりすることがあります。 日々の業務では、自社サーバー、アカウント設定、社内問い合わせ、保守、管理、外部業者対応などを担っている場合もあります。

その状況で、新しいDX施策の調査、導入準備、ベンダー対応、現場調整まで集中すると、 日常業務と改善業務の両方を抱えることになります。

情シスや担当者へ丸投げするのではなく、 守る役割・変える役割・使う役割・決める役割を分けて設計することが重要です。

大企業の役割を、中小企業向けに置き換える

中小企業に大企業と同じ部署を作る必要はありません。 ただし、大企業では分担されている役割を、中小企業の体制に合わせて置き換える必要があります。

大企業で分かれている役割 主な役割 中小企業での置き換え 第0工程で整理すること
経営層 / 経営企画 方針・投資判断・優先順位 経営者・役員 なぜやるのか、どこまで投資するのか
DX推進室 / 事業企画 変革テーマの推進 幹部・兼任担当者 何を変えるのか、どの順番で進めるのか
情報システム部門 安定稼働・保守・セキュリティ 1〜2名の情シス・総務兼任 どこまで負担できるのか、守る範囲はどこか
利用部門 実務利用・現場定着 営業・製造・事務など 誰が使うのか、現場運用に合うのか
PMO / プロジェクト管理 進捗・課題・リスク管理 兼任担当者・外部支援 誰が調整し、誰が判断を上げるのか

Amatrecは、この置き換えを第0工程で一緒に整理します。 役職名や部署名をそろえることではなく、自社に必要な役割と裁量を見えるようにすることが目的です。

情シスに丸投げすると、守るITに負荷が集中します

DX推進では、使う部門が営業や製造、事務であっても、 アカウント管理、セキュリティ確認、既存システム連携、保守対応などは情シス側に残ることがあります。

一方で、情シスにすべて任せると、 現場で本当に使われるか、業務改善につながるかが見えにくくなります。

進め方 起きやすいこと
情シスに丸投げ 守るITと変えるITが集中し、既存業務にも影響が出やすい
利用部門任せ 現場最適になり、全体設計やセキュリティ確認が不足しやすい
経営方針だけ先行 実行体制・予算・負荷が見えないまま進みやすい
役割設計あり 判断・利用・運用・調整の責任が見えやすくなる

問題は、誰かが悪いということではありません。
経営層・利用部門・情シス・外部事業者の役割が曖昧なまま進むと、 結果として一部の担当者に負荷が集中しやすいという構造の問題です。

予算は「部門の便利ツール」だけで考えない

営業部門が使うツールだから営業予算で賄う、という考え方だけでは足りない場合があります。

経営層がDX推進として打ち出すのであれば、 それは単なる部門の便利ツールではなく、会社全体の業務改善や事業変革に関わる投資です。

利用部門が使うツールであっても、 会社全体の業務改善や事業変革につながる場合は、 部門単位の費用ではなく、企業全体の投資として整理する必要があります。

第0工程では、誰の予算で進めるのかだけでなく、 誰に負荷がかかるのか、その負荷をスケジュールや体制にどう織り込むのかも確認します。

第0工程で、役割・裁量・負荷を設計する

DX導入前に確認すべきことは、ツールの機能だけではありません。

01
誰が決めるか

方針、予算、優先順位、継続判断を誰が担うのか。

02
誰が使うか

実際に利用する部門・担当者・利用場面はどこか。

03
誰が守るか

保守、権限管理、セキュリティ、社内問い合わせを誰が担うのか。

04
誰が変えるか

改善案、導入準備、外部事業者との調整を誰が担うのか。

05
どの予算で進めるか

部門費用なのか、会社全体の投資なのかを整理する。

06
どの負荷を見込むか

導入前後に発生する作業・調整・問い合わせ対応を見込む。

Amatrecは、これらを第0工程で整理し、 中小企業側が判断しやすい役割設計に落とし込みます。

Amatrecが介入する意味

第0工程とは、外部事業者へ相談する前に、 課題・目的・比較条件・責任範囲を整理する前段階のことです。 詳しくは、 10|DX導入前の「第0工程」とは|RFP・見積依頼の前に整理すべきこと で整理しています。

本記事で扱う「守るIT」と「変えるIT」の役割設計も、 この第0工程で確認しておくべき重要な論点です。

未整理のまま進む

経営層、利用部門、情シス、外部事業者の役割が曖昧なまま進む。

Amatrecが整理する

誰が決めるか、誰が使うか、誰が守るか、誰が変えるかを整理する。

導入前に見える化する

役割・裁量・負荷・責任範囲を把握したうえで進めやすくなる。

第0工程を経験することで、DX推進を情シスや現場担当者に丸投げするのではなく、 経営層・利用部門・情シス・外部事業者の役割を見える化したうえで進めやすくなります。

まとめ

DX推進で担当者が疲弊する原因は、人の能力不足ではありません。

守るIT、変えるIT、利用部門、経営層、外部事業者の役割が曖昧なまま進むことで、 一部の担当者に責任と作業が集中することです。

だからこそ、DX導入前の第0工程で、 役割・裁量・負荷・責任範囲を整理することが重要です。

Amatrecは、守るITと変えるITを対立させるのではなく、 中小企業の実情に合わせて、誰が何を担うのかを一緒に整理します。

担当者に負荷を集中させる前に、役割を整理する

DX推進は、情シスや現場担当者だけに任せるものではありません。 経営層、利用部門、情シス、外部事業者の役割と責任範囲を整理する必要があります。

Amatrecは、第0工程で役割・裁量・負荷を整理し、 中小企業側が無理なく判断・運用しやすい進め方を支援します。

相談の入口へ